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横浜のホームレス歌人

今日の朝日新聞に、「ホームレス歌人さん 連絡求ム」という記事が載っていました。


印南敦史の武蔵野日記


asahi.comにも出ていた同じ記事。



 朝日歌壇に「ホームレス・公田耕一」と名乗る歌人が現れた。昨年末以来ほぼ毎週入選を重ねている。経歴も年齢も不明だが、投稿数に比例して“気になる存在”度は高まるばかりだ。

 初投稿で初入選したのは08年12月8日掲載の〈(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ〉。冒頭は、ダリの時計の絵を連想させる。

 4人の選者のうち佐佐木幸綱、永田和宏両氏が「真に迫る、知的な歌」と注目した。投稿には「住所明記」の規定があるが、「住所という存在証明を持たないホームレスという立場は実際にある。排除すべきではない」と、選者の考えが一致した。住所表記は(ホームレス)にすることになった。

 入選歌は12月22日掲載の〈鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄(す)てたのか〉、1月5日は〈パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる〉ほか一首。19日、〈日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る〉。26日の〈親不孝通りと言へど親もなく親にもなれずただ立ち尽くす〉は3氏が選んだ。

 投稿はがきの消印は「横浜」。本日付の歌壇欄に掲載の歌には、寿町や長者町の地名が詠まれている。

 選外の作品からも人物の輪郭が見えてくる。〈ホームレス襲撃事件と派遣村並ぶ紙面に缶珈琲(コーヒー)零(こぼ)す〉〈美しき星座の下眠りゆくグレコの唄(うた)を聴くは幻〉。野宿の日もあるのか。今の境涯に対する自嘲(じちょう)も見える。〈百均の「赤いきつね」と迷ひつつ月曜だけ買ふ朝日新聞〉。朝日歌壇は原則、月曜朝刊掲載。カップ麺(めん)を我慢しても歌を取る姿が浮かぶ。

 歌壇係には、ホームレス歌人を思う歌や、「短歌を拠(よりどころ)に生きぬいて」などの励ましが寄せられているが、(ホームレス)では、これらの厚意を届けることができない。

 公田さん、何とか連絡がとれませんか。あなたが手にすべき入選一首につきはがき10枚の“投稿謝礼”も宙に浮いているのです。




ちなみに今日掲載の入選作は……


印南敦史の武蔵野日記


哀しきは寿町と言ふ地名長者町さへ隣りにはあり


記事にもあるけれど、この人の才能はすごいと思いませんか?
朝日新聞を買うためにカップめんを諦めなければならない境遇にあるのに、歌人としての存在感をはっきりと意識させてくれる。


「(柔らかい時計)を持ちて」の抽象性とか、「パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて」の韻とか、「親不孝通りと言へど親もなく親にもなれず」のリズム感とか、すごく知的だと思う。

ちょっと震えがきた。
で、(ありきたりな表現で恐縮だが)涙腺ゆるんだ。



美しき星座の下眠りゆくグレコの唄(うた)を聴くは幻〉


グレコ=ジュリエット・グレコの名が出てくるあたり、シャンソンの時代を生きた団塊の世代なんじゃないかな。
小中学生のころ、よく名前を聞いた歌い手だ。


ジョルジュ・ムスタキはわりと聴いていたんだけど、グレコはそれほどではなかったかも。
歌に詠みたくなるほどの“なにか”がグレコの歌にあるなら、それは知りたい。
そう思っていま、発作的にこのCDを注文してしまいました。


詩人の魂~ベスト・オブ・ジュリエット・グレコ/ジュリエット・グレコ



この記事を読んだ多くの人が感じていることだろうけど、どんな人なのか、ぜひ会ってみたいな。


けど、いかにもテレビが飛びつきそう。
やつら、人のふんどしで相撲をとることしかできないからな。


でも、それで彼の生活が潤うのなら、それはそれでいいことなのかもしれないね。

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